秋津レークタウンのスーパー前の飲食店建物は建築協定違反です。建築・営業に反対しています。
また、この建物に対する行政の建築確認処分の審査には重大な瑕疵があり、取消を求めています。

平成21年1月23日に原告らが熊本地方裁判所に提出した準備書面です。
(被告の平成20年11月17日「第1準備書面」(このHPには未公開)へのさらなる反論です。)
(印刷をなさりたい方はこちらより.PDFファイルをダウンロードしてください。なお、本訴状に添付した甲号証
による書証は個人情報を含みますし、ご希望を検討させていただき回答しますので、一応ご連絡ください。)


 平成20年(行ウ)第9号 建築確認処分取消請求事件
 原   告   佐 藤    上 外5名
 被   告   熊本市

             
準 備 書 面 (4)
                                 平成21年1月23日

 熊本地方裁判所民事第2部合議B係 御中

                    〒861-2105 熊本市秋津町秋田3442-40
          (送達場所)   原   告   佐 藤    上
                            電 話 096-365-6218
                            FAX 096-365-6218
                            mail noboru@laketown.pc-door.com

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 第3回口頭弁論(平成20年12月5日)の経過を踏まえ,原告らの主張をする。

第1 違法事由の整理
   建築主の建築確認の申請に対して建築主事がすべき確認の審査のうち,特に土
  地用途(敷地)の適合性について,建築基準法上の審査権限を持つ建築主事と,
  都市計画法上の許可権限を持つ市長との間に各々の権限範囲の解釈について決定
  的な対立がある。被告の組織で互いが「自分の権限,領分ではない。」との無責
  任なキャッチボールが行われ,結局本件では同適合性の実質的審査を誰もしてい
  ない。この問題は本案審理の上で重要であるから,別途求釈明を申立てることと
  したい。しかし原告らの取消請求の趣旨のとおり,行政の違法な判断・処理は建
  築主事の本件建築確認の処分に収斂するのであり,次に違法事由を整理する。
 1 建築確認の審査の欠落
   第一に,本件建築確認において,建築主事は建築基準法第6条4項に定められ
  た建築確認の審査のうち,都市計画法第29条1項,同第41条2項及び第42
  条に係る開発許可及び土地用途の適合性の審査をしていないのであるから,本件
  建築確認の処分は要件を欠き違法である。
 2 建築確認の審査における瑕疵
   第二に,仮に当初建築確認における飲食店建物の新築計画(焼鳥屋部分)に対
  する都市計画法第29条1項及び同法第42条1項に係る市長の判断・処理を,
  本件建築確認における本件建物の変更計画(焼鳥屋に中華料理店部分が加わった
  もの)に対する開発許可及び土地用途の適合性の審査に流用するとしても,次の
  とおり違法があるから,建築主事の審査には瑕疵があることとなり,本件建築確
  認の処分は要件を欠き違法である。
 (1) 「建築協定」に係る違法
   秋津レークタウンには,熊本県の「市街化調整区域における開発許可基準」(甲
  第46号証)に基づいて県知事が付加した開発許可の条件として,建築協定が締
  結されており,同協定には,A地区の建築物の店舗は「スーパーマーケット」と
  の明確な用途制限が定められている。開発区域に計画された建築物の確認の審査
  に当たり,建築主事は都市計画法上の適合性,すなわち本件建物の建築計画が開
  発許可基準に適合しているかどうかを審査しなければならないが,同協定は廃止
  されておらず有効に機能しているのであるから,同協定にある建築制限の各事項
  を審査基準として審査しなければならない。そうすると,建築協定の用途制限に
  違反することとなる本件建物に建築確認の処分をなすことは違法である。
   また,建築基準法第74条2項において準用する同法第70条3項では,建築
  協定の変更は「土地の所有者等の全員の合意を得て,特定行政庁の認可を得なけ
  ればならならい。」と定められている。建築協定違反は実質的に建築協定の内容
  (用途制限)を変更することに等しい。本件建物が建築協定に違反していること
  は被告も把握していると解されるが,同協定を認可した行政たる被告自身が,訴
  外会社建築主に「自治会長及び住宅生協の理事長の同意書を取付けて,これを建
  築確認申請書に添付するよう指導」したのであるから(熊本地裁平成18年〔ワ〕
  第1113号建物撤去請求事件。平成20年6月26日判決25頁26行目。),
  同行政指導は不法行為であると言わざるを得ない。行政指導に従い建築主が申請
  書に添付した,建築協定について何らの権限も有しない自治会長らの同意書に基
  づいて建築主事がした審査及び確認の処分は違法である。
  特に「建築協定」に係る違法は,原告らはもちろん土地の所有者等の全員の個
  別の利益に大きく関わることでもあり, 第2 でさらに主張を補強する。
 (2) 都市計画法第42条1項に係る違法
   都市計画法第42条1項は,「何人も,開発許可に係る予定建築物以外の建築
  物を新築,改築または(建築を伴わなくても)用途を変更して予定建築物以外の
  建築物にしてはならない。」と定め,開発工事完了後の開発区域内での建築物の
  用途を厳しく制限している。そして例外として,利便の増進上及び環境の保全上
  支障がないとして県知事の許可があれば,同予定建築物以外の建築物が建築でき
  る,と定めていることから,同定めは住民の利便性や居住環境の保全を一義的な
  目的としていると解される。そして,同法第30条による開発許可申請書に記載
  される「予定建築物等の用途」は,建築確認の審査を受ける際のような確定した
  建築計画ではないから,実際の建築確認の段階において,当該計画が予定建築物
  に当たるかどうかの建築主事の実質審査を受けることとなる。
  「予定建築物」とは,用途地域に関する解釈のように幅を持った建築物の用途
  一般を示すものではなく,開発計画に伴い建築が予定され,開発許可基準に適合
  する,文言どおり固有の,あるいは属人性を有する場合もある「建築物」そのも
  のを指している。建築主事は審査に当たり,計画された建築物(店舗)について,
  業種・業態,規模及び構造等を精査し,予定建築物であるかどうかを判断しなけ
  ればならない。被告はこの審査をしていないことを自白し,また本件建物につい
  て仮使用承認のための検査の当日まで同店舗の業種(中華料理店)さえも把握し
  ていなかったのであるから,同審査をしていないことは明白であり,違法である。
  本件建物は都市計画法第42条1項に違反している(甲第53号証。熊本県「手
  引き」予定建築物以外の建築制限)。
   また市長は,「飲食店」については,都市計画法第42条第1項に定める「用
  途の変更」には該当せず,ただし書許可は必要ないと判断した(甲第10号証。
  建築審査会裁決書に添付された平成19年9月7日付,開景発第000531
  号)。しかし,本件建物は既設店舗のスーパーマーケットとは別棟であり,明ら
  かに改築等ではなく新築である。事実に基づかず,しかも誤った法律解釈による
  市長の判断・処理に依拠した建築主事の確認の審査には瑕疵がある。
 (3) 事実誤認に基づく審査の違法
   建築主事は,本件建物の土地について前提となる事実を誤認し,この誤認に基
  づいて審査をしている。すなわち, (ア) 開発許可時の県知事の建築制限につい
  ては建築許可証が出ており許可済みである,と主張しているが,そのような事実
  はない。(イ) 建築計画に先立ち,当該土地は開発行為の許可を得た,前もって
  土地の区画変質があったものと主張しているが,秋津レークタウン開発区域は,
  平成5年6月21日第3工区の工事完了の公告があって以降,いずれの土地も区
  画変質されていない。開発登録原簿(甲第6号証)にも登録記載はない。(ウ)
  本件建物の土地を含むA地区には用途地域は定められていないのに,「第一種低
  層住居専用地域」内の基準として確認したと主張している。(甲第10号証。建
  築審査会裁決書2 処分庁弁明(3) 及び甲第24号証。建築審査会口頭審理
  における処分庁陳述。ただし,後には「第二種中高層住居専用地域である。」と
  も主張している。)
   仮に事実として,土地の区画変質があったり,A地区が第一種低層住居専用地
  域であれば,本件建物の建築は別の新たな都市計画法違反(無許可の開発行為)
  及び建築基準法違反(建ぺい率等建築物形態制限違反)事件であることとなる。
  事実に基づかない建築主事の審査は違法である。
 (4) 「60条証明書」の不存在
   建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号〔平成19年6月20日施
  行前のもの〕)第1条の3第11項の定めでは,建築基準法第6条による建築確
  認を受けようとする者は,申請に係る計画が都市計画法第29条1項,第35条
  の2第1項,第41条2項,第42条または第43条1項に適合していることを
  証する書面(「60条証明書」)を申請書に添付しなければならない(ただし,特
  定行政庁が規則で定める場合には提出しないでよいこととなっているが,熊本市
  には同規則等による定めはない。)。熊本市の「手引き」でも,「60条証明書」
  の交付手続きについて解説があり,提出用申請書書式も添えられているのである
  から,同手続きは公にされた審査基準である。
   しかし,本件建物に係る建築確認申請において,右都市計画法各条項に係るい
  ずれの「60条証明書」も添付されていないから,同法に係る適合性の確認がで
  きていないと解するほかなく,この不適法な処理により, (ア) 当該土地に係る
  県知事指定の開発許可条件(建築協定及び公益的施設のための用地の確保等)が
  遵守されなくなることを看過した。(イ) 都市計画法第42条1項に定められた
  用途地域の定めのない開発区域における建築制限について審査をしていない。し
  たがって,建築主事の確認の審査には瑕疵がある。
   なお,被告は「60条証明書」に代わるものとして,被告自身が作成する「建
  築確認申請事前調査報告書」のチェック枠(□)を黒くマークする(■)熊本市
  独自の手法によっているとしているが(「60条証明書」が交付されない以上,
  市長の判断には処分性がない〔甲第15号証。開発審査会裁決〕と判断されるか
  ら,本訴えで原告らは同市長の行為をあえて「被告の判断・処理」と表現してい
  る。),同証明書は「許可を要しない。」とする同市長の判断を証明する書類とし
  て必要欠くことのできないものであるから(「許可をした。」「許可を要しない。」
  の判断の如何によって建築主事のする審査の質的内容が大きく異なってくる。),
  熊本市独自の手法は行政手続法に則っていないことを含め,なお審査の違法性を
  免れない。
 (5) 都市計画法第41条に係る違法
   駐車場の区画分割は,都市計画法第41条1項に基づき県知事が開発許可時に
  指定している建築物の形態制限に違反している(甲第52号証。熊本県「手引き」
  建築物の形態制限)。(甲第50号証。秋津レークタウン物件概要説明書6頁10
  行目,全区画で敷地の分割は認められていない。)
  開発許可に当たり,県知事は開発申請者から提出された総面積212,601.
  01㎡の全開発区域に対して(甲第6号証),都市計画法第33条に定める道路,
  公園,調整池等の公共施設等の有無及び同法施行令第25条によるこれらの技術
  的細目等とともに,同令第27条に定める必要な教育施設,医療施設,交通施設
  等,購買施設その他の公益的施設が,それぞれの機能に応じ居住者の有効な利用
  が確保されるような位置及び規模で配置されているかどうかを吟味検討した結
  果,中でも住民の日常生活に密接に影響する購買施設については,建築を予定さ
  れたスーパーマーケットの敷地7,816.26㎡に対して,客用駐車場のスペ
  ース,周囲のB地区の第一種低層住居専用地域の居住環境,住民との住分け等総
  合的に勘案した上で「店舗の床面積は1,500㎡以下」(昭和63年当時の大
  規模小売店舗法の定める「店舗面積」〔売場面積のみで算出〕が許可基準とされ
  ている。)の制限を指定したものであるから,この開発許可時の制限を無視する
  のは違法である。建築主事の審査には同制限を看過した瑕疵がある。
 (6) 「開発区域」「市街化調整区域」等の誤った解釈による違法
  (a) 被告は,開発許可に係る開発工事が完了すると,その区域は「もう開発区域
  ではなくなる。」「法律等による開発区域としての保護・制限の適用がすべてな
  くなり,購買施設を含む公益的施設の確保の必要はなくなる。」「開発許可制度
  は,開発工事が完了するまでの制限等に過ぎない」と判断して確認の審査をし
  た。しかし,開発区域は同法第36条3項の工事完了公告の後でも,消滅する
  ものではなく,同法第41及び第42条等には同公告後に適用される開発区域
  での建築制限の定めがあり,住民の居住環境の保全及び建築秩序の維持等,極
  めて有効に機能している。また,同法施行令第27条に定める大規模開発区域
  内での住民の日常生活のための「購買施設」を含む公益的施設の(用地の)確
  保の定めも消滅することはない。
  (b) 被告は,市街化調整区域における開発行為が完了した後は,「当該区域は市
  街化調整区域ではなくなり,一般の市街化区域となる。」として扱い,本件建
  物について,都市計画法第42条1項ただし書「許可を要しない。」と判断・
  処理した。しかし,市街化調整区域を市街化区域として行政をなすのでは都市
  の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的とする都市計画法の根幹に関わ
  るでたらめの不法行為である。都市計画区域の「線引き」制度の解釈を誤って
  した建築主事の審査は違法である。
  (c) さらに被告は,都市計画法第42条1項に違反していない,との根拠として,
  同法第34条1号に該当する(「1号店舗」)飲食店店舗であるとか,過去の事
  例を挙げ,判断は行政の裁量の範囲だと主張する(甲第38号証。開発審査会
  処分庁弁明書4頁16行目)。しかし,「1号店舗」は同法第42条1項ただし
  書許可を判断する上での「審査基準」とは言えても,「許可を要しない。」との
  根拠にはなり得ず,誤った解釈でした建築主事の審査には瑕疵がある。

第2 「建築協定」に係る原告らの主張
   原告ら準備書面(3)第1 (2) で,「被告が言うようには,本訴えの趣旨であ
  る建築確認の取消しを求める直接的な理由に建築協定を挙げて主張してはいな
  い。」と言うのは,基本的に建築協定は土地の所有者同士が締結するものであり,
  民事上のあらそいと同じ趣旨を本訴えで主張しているのではない,との意である
  が,裁判長の指摘もあり,原告らは「建築協定」について,被告第1準備書面へ
  の反論も含めて,改めて次に主張する。
 (1) 行政手続法第6条ないし第9条では,行政庁は申請により求められた許認可等
  をするかどうか,をその法令に基づいて判断するために必要とされる基準(以下,
  「審査基準」という。)を,当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な
  ものとして定めなければならず,行政上特別の支障がある場合を除き,法令によ
  り当該申請の提出先とされている機関の事務所に備付け,その他適当な方法によ
  り公にしておかなければならない,と定められている。
   熊本県及び熊本市がそれぞれ公表している「手引き」も同定め及び各関係条例
  に基づくものと解されるが,「手引き」には,「○○基準」「○○方針」「○○要綱」
  等の表現で示しているほか,法律の解釈を示している部分もあり,これも審査の
  前提となるため審査基準の一部と解される。そして審査基準は,都市計画法及び
  同法施行令が地方公共団体の条例へ委任している各々の地方の実情に応じた開発
  行為の許可のための立地,技術基準(同法及び同法施行令に定める各基準の強化
  または緩和を含む。)として県知事や市長が定めているものでもあり,「『都市計
  画法による開発許可制度と開発許可申請の手引き』によって開発許可制度を運用
  する。」と,「手引き」の開発許可制度の運用におけるバイブルとも言える重要な
  位置づけと役割が公にされている。
 (2) ところで,訴状に述べているように,市街化調整区域の秋津レークタウンにお
  ける本件建物の計画された土地の用途については,(都市計画法第79条に基づ
  き)昭和60年11月7日付熊本県指令建第438号の県知事の開発行為の許可
  に際して付された条件(甲第1号証)に「建築協定を速やかに締結すること」が
  あり,同建築協定(甲第2号証)には「建築物の用途は物品販売を営む店舗(ス
  ーパーマーケット,…)」と,明確な用途制限がある。一方,(都市計画法第41
  条及び第42条に基づき…原告ら注)昭和63年9月16日付建第開第14号の
  開発完了検査済証に付された文書(甲第3号証)に「建築協定が廃止となった場
  合においても…」との条件の記述があるが,これは,「建築協定を締結して,規
  定された用途制限等を尊重,厳守すること」であり,しかし,「建築協定は私人
  間の契約であり,住民の(過半数の)同意により廃止される可能性があり,この
  土地は市街化調整区域で用途地域の定めがないから,万一協定が廃止となった場
  合でも,無秩序にならぬよう以下の条件(原告ら準備書面〔2〕の解釈)を最低
  基準として遵守すること」と,県知事が指定しているものである。
 (3) そこで,熊本県の同「手引き」第5章「市街化調整区域の許可基準」(甲第4
  6号証)の内,秋津レークタウン開発区域に適用された都市計画法第34条10
  号イに係る「市街化調整区域における大規模な開発行為の取扱い」(同号証5-
  12頁)についてみると,次のような明確な審査基準が定められている。
  ① 市街化調整区域内における5ヘクタール以上の開発行為は,都市計画法に定め
  るもののほかに次の各号に該当しなければ,開発許可をしないものとする。
  …そして,第3 計画基準1 住宅用地計画基準(同号証5-13頁)では,
  ② (3) 相当規模の公園・緑地を設けるなど良好な環境の住宅市街地の実現を目
    指した計画であること。
   (4) 原則として開発完了後すみやかに建築協定,緑化協定等を締結すること。
  …なお,熊本市の同「取扱方針」でも同じ内容が定められている。
   これらのことから,右(2) に挙げた県知事指定の制限(甲第1号証及び甲第
  3号証)は,熊本県が定め,秋津レークタウンに適用された「開発許可基準」で
  あることが明白である。
 (4) 秋津レークタウンの開発工事が完了し,県知事の検査済証が交付されたという
  ことは,審査基準に適合して,建築協定が有効に機能していることをも示してい
  る。(原告ら準備書面〔1〕7頁,藤島昭裁判官の意見参照)そして,建築主事
  がする建築確認の審査には,建築基準関係規定として都市計画法第29条1項が
  含まれるが,同審査では当該土地の開発区域が過去に歴史的事実として開発許可
  を受けたかどうか,という外形的,形式的なものに留まらず,当該建築計画が開
  発許可基準に適合しているかどうか,の審査を欠くことはできないものである。
  この点,第1(違法事由の整理)で挙げているが,市長から「60条証明書」が
  交付されていない場合にはなおのこと,建築主事の実質審査が不可欠なのであり
  (甲第49号証。開発審査会処分庁再弁明書にも市長の同主張がある。),審査を
  していれば当該土地に係る開発許可条件として建築協定の締結が定められてお
  り,同協定が廃止されておらず,土地用途の制限として,「店舗はスーパーマー
  ケット」と明確に定められているのであるから,本件建物の建築計画は開発許可
  基準に適合しないこと,が容易に判定できたものである。
 (5) 確かに被告が言うように,建築協定は私人間の契約であり,建築基準関係規定
  に直接は定められていない。また,一般的には建築基準法の最低基準を超えて,
  いわば上乗せの制限を特定の区域の土地の所有者等同士が契約という形で締結す
  るものである。しかし,秋津レークタウンのような周囲に近接した市街地がない
  市街化調整区域における大規模開発の許可に際して,県知事は都市計画法第41
  条による建築物の形態制限(建ぺい率,容積率,外壁後退距離等)を指定するこ
  とはできても,建築物の用途を直接指定することはできない。開発行為者である
  住宅生協が原始協定者として県知事と調整しながら策定する建築協定によって,
  秋津レークタウン「新生住宅地の第一歩」としての用途制限を開発許可基準とし
  て公にし,同開発許可の前提条件と定めたのである。他行政庁にも同様の例が多
  くあるが,町づくりの基本ルールを,実際に住む土地の所有者等が締結する(建
  築基準法第4章を成立根拠とした)建築協定に委任するもの,あるいは国土交通
  省の運用指針(次段参考)にも沿うものとして,建築協定の中に県知事の指定す
  る制限の文言を設け,開発区域にふさわしい良好な住環境を保持するために機能
  させようというものと解される。
   そうだとすると,結局,被告の主張するように建築協定を無視し,あるいは同
  協定に違反する建築物であることを知りながら建築確認の処分をなすことは,都
  市計画法が定める開発許可の基準に反していることを自白しているにほかならず
  (実際,建ぺい率等の形態制限は建築協定の基準を根拠に採用しつつ,用途制限
  は何らの正当な根拠もない自治会長等の同意書を取付けさせるという「適正な行
  政指導がなされたという判断を基」にした,と矛盾した審査をしたことを自認し
  ている〔甲第10号証。建築審査会裁決書6枚目5行目〕。),審査の違法性は免
  れない。
    参考「国総民第9号平成13年5月2日国土交通省総合政策局長通知
       開発許可制度運用指針Ⅲ-6-10」
 (8) 特に,地区計画や建築協定の策定を伴う開発行為であって他の土地利
  用規制との調整を了したものについては,開発区域の特性にふさわしい
  良好な環境が将来にわたって保持されるものであることから,法第34
  条第10号イの運用については,特段の配慮を行うことが望ましい。

第3 本案前の主張(段落番号, ( ) の付与は,被告第1準備書面に沿う。)
 2 (原告適格について)について
 (2) (1 法律上保護された利益第4段)「②当該建築物周辺の建築物における
  日照及び通風等を良好に保つ等,周辺居住者の快適な居住環境を確保する…」
  ① 秋津レークタウンのB地区(住居地区)は,都市計画法第41条1項の定めに
  より(原告ら準備書面〔2〕主張),県知事が建築物の用途の基準として,「(1)
  建築物の用途は,第一種住居専用地域に建築可能な用途とすること」と用途地域
  を想定し,建築物の形態制限を指定している(甲第3号証)。また,同法第79
  条に基づいて県知事が開発許可の条件として付加し,締結された建築協定にも同
  様の制限がある(甲第2号証)。また,被告が「大規模開発行為に対する許可に
  際しては,すべて開発許可の条件として用途地域を指定している(甲第38号証。
  開発審査会処分庁弁明書5頁)」と証言している。そこで,「第一種住居専用地域
  に建築可能な用途」とは,建築基準法第48条1項に定められている同法別表第
  二(い)項に掲げる建築物のことを指すのは明白であり,同条が良好な住居の環
  境を確保する趣旨をうたっていること,また同法は国民の生命,健康及び財産の
  保護を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とするのであるから,
  B地区及び同住居環境を同趣旨,目的から排除すべき理由はない。
  ② 被告は用途地域においてのみいえることである,と反論するが,用途地域が定
  められていないA地区(商業地区)にしゃにむに用途地域を適用し,本件建物を
  その業種・業態,規模及び構造等を吟味もせず,開発許可に係る予定建築物であ
  ると主張しているのは被告自身である(甲第38号証。開発審査における処分庁
  弁明書5頁)。用途地域の指定のない区域内の建築物の「容積率」「建ぺい率」「各
  部の高さ」及び「前面道路との関係についての各部分の高さ」の制限は,各々建
  築基準法第52条1項6号,同法第53条1項6号,同法56条1項2号ニ及び
  同法別表3(に)欄5の項の定めにより,特定行政庁が土地利用の状況等を考慮
  し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めることができるこ
  ととなっている。これらの形態制限の定めは,建築物の敷地上の適度な空間を確
  保し,当該建築物及び隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保
  つ目的のほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築
  物に延焼する等の危険を抑制することも含まれると解され,用途地域の定めのあ
  る区域と何ら変わりなく「国民の生命,健康及び財産の保護を図ること」を目的
  とする建築基準法の適用を受けるのである。
  ③ 建築基準法第48条や第55条で「良好な住居の環境を害するおそれがない」
  場合に限り例外的に条件を緩和するなど,その判断基準として「環境」を掲げて
  いる。同様に,都市計画法第42条1項が「ただし,都道府県知事が当該開発区
  域における利便の増進上若しくは開発区域及びその周辺の地域における環境の保
  全上支障がないと認めて許可したとき」と例外を設け,同条ただし書許可申請が
  あった建築計画が当該区域における利便の増進や周辺の地域における環境の保全
  上支障があるかないかを(市長が,または市長がしなければ建築確認の際に建築
  主事が)審査する必要があることを定めている。特に原告適格の解釈の拡大をう
  たう平成17年4月1日施行の行政事件訴訟法第9条2項の「当該法令と目的を
  共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌する」の定めに鑑み
  れば,当該建築計画に係る建築物周辺の住民の環境は一律に公共の利益に吸収さ
  れるのではなく,違法な建築物によりその周辺の住民の環境が損なわれる場合は
  個別にこれも保護すべき利益として認められていると解される。
  ④ 秋津レークタウンは,都市計画法第34条10号イの「計画的な市街化を図る
  上で支障がないと認められるもの」との定めにより開発行為が許可されたもので
  あり,開発区域の面積は同法施行令第31条本文により,20ha以上と定めら
  れているところ,同条ただし書きによって,「都道府県は,条例で,産業の振興,
  居住環境の改善その他都市機能の維持又は増進に著しく寄与する開発行為につ
  き,区域及びその目的又は種別を限り,5ha以上20ha未満の範囲内で,そ
  の面積を別に定めることができる。」ことから,熊本県,熊本市は各々条例で同
  面積下限を5haを定めている。秋津レークタウンが法律により居住環境を保護
  された開発区域であることは明白である。そして,この居住環境の保護は公益に
  吸収されるのみならず,違法な建築物によりその周辺の住民の環境が損なわれる
  場合は個別にこれも保護すべき利益として認められていると解される。
 (3) (1 法律上保護された利益第5段)「集団規定によれば,都市計画法の定
  めとの連携によるものだけでなく,周辺居住者の防災・避難,通行,騒音・悪臭,
  衛生,美観,プライバシー等に対する利益の保護をも定めている…」
  ① 本訴えにおいては,防災,通行,美観,プライバシーに関する原告らの利益の
  保護についてはとりあえず関係なく,これ以上主張するつもりはないので,この
  点ではあらそわない。
  ただし,避難場所の確保,騒音,衛生に対する利益の保護については,原告ら
  準備書面(1)及び本準備書面(4)に主張するとおりである。臭気の被害は次
  の(5) にも述べるが,日常的に臭気,油煙に曝されるから,これを避けるため
  に扉,窓を閉め切るしかない。したがって通風が遮断され,日本家屋で通常当然
  のように享受することのできる自然風を受けることができないから,健康上,衛
  生上の利益を損なう,と主張しているのである。
  ② 本訴えに関係する判例では,平成20年7月31日大阪高裁「開発許可差止・
  建築確認処分差止請求控訴事件」(平成20年〔行コ〕第11号)の原告適格の
  判示が参考になると思われるので,次に引用(抜粋)する。
    (当該事件の原告適格について)
   (3)都市計画法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡
    ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とし(同法1条)農林漁業
    との健全な調和を図りつつ,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を
    確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が
    図られるべきことを基本理念とし(同法2条),開発行為の許可基準として,
    開発区域内の土地について地区計画等が定められているときは,予定建築物等
    の用途又は開発行為の設計が当該地区計画等に定められた内容に即して定めら
    れていること(同法33条1項5号),開発区域における利便の増進と開発区
    域及びその周辺の地域における環境の保全とが図られるように公共施設,公益
    施設及び予定建築物の用途の配分が定められていること(同条1項6号),一
    定規模以上の開発行為にあっては,開発区域及びその周辺の地域における環境
    を保全するため,開発区域における植物の生育の確保に必要な樹木の保存,表
    土の保全その他の必要な措置が講ぜられていること(同条1項9号)などを定
    めているほか,市街化調整区域の開発行為については,一定面積以上の開発行
    為で,当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上に支障がないこと(同
    法34条10号イ),又は開発区域の周辺における市街化を促進するおそれが
    ないこと(同号ロ)などを定めている。上記都市計画法の規定の趣旨及び目的
    等に照らすと,同法は,開発行為の許否を決するに当たって,周辺住民の健康,
    生活環境に係る被害のみならず,周辺土地自体及びその利用が,当該開発行為
    により受ける影響についても十分配慮し,所有者らの土地所有権等の財産権に
    ついても,物理的な被害のみならず,既に住宅等の開発が行われ,ないし計画
    されている場合において,これに対し直按的に著しい支障を受け,財産上の著
    しい被害を受けるおそれがある場合,そのような被害を受けないという利益を
    も,一般的な公益の中に吸収解消させるものとすることなく,個別的利益とし
    て保護するべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当である。
 (4) (2 環境被害第1段)「年間及び日毎の風向変動…火災の類焼等…」
  ① 被告が乙第7号証で,平成19年の毎月の初
  日の12日分の風向を抽出しているのはあまり
  に標本が少なく,分析も意図不明で科学的とは
  言えない。原告らの主張は,秋津レークタウン
  の風向は風配図で北北西が年間を通して最も多
  いことがわかるし,地区の北東端の発生源から
  の臭気・油煙は,住居地区へ浮遊,漂流し,夕
  方から夜にかけて陸風への変化もあることから,年を通じ高い頻度で秋津レーク
  タウンの住居と住民に環境被害を与える,というものである。なるほど自らが提
  起した裁判で嘘をつこうとは考えもしないが,北西~北北西~北~北北東~北東
  の90度の北象限の風向により風下の住居地区に影響を及ぼすのであるから(付
  図),本件建物の焼鳥屋の営業時間帯である18時から深夜0時の間の観測機会
  中1回以上観測され,つまり1時間ないし7時間程度継続して北象限の風向とな
  る日は267日あり,これは年間約73%強に及ぶ事実を挙げておく。
  ② 違法に建築された飲食店建物が存在しなければ,ガスボンベが爆発したり厨房
  機器から引火して火災を発生するする危険性は全くないのである。元々全域が都
  市ガス系で整備されることを前提に設計され(昭和63年当時の規格で,5C-
  4500Cal全区画宅地内引込。西部ガス),LPガスの導入は禁止されてい
  る開発区域で(甲第48号証。秋津レークタウン物件概要説明書3頁),営業用
  大型LPガスボンベが外部元栓を部外者にも手で簡単に開閉操作できる状態で,
  夏の炎天下や冬には凍結するような場所に屋根等の蔽いもなく露出して設置され
  ていれば(甲第27号証),物騒でもあり不測の危難のおそれなしとは断言し得
  るものではない。消防法等,法令に適合しているかどうかは,原告らの保護され
  る利益を勘案して裁判所がする原告適格の判断には関係がない。熊本では,我が
  国災害史上有名な昭和26年6月26日の白川氾濫,昭和48年11月29日の
  熊本大洋デパート火災の例等,間近で多くの近親者等の死傷者を出した体験を持
  つ住民が,約20年前の秋津レークタウン入居当初の日常から,防災意識を高め
  る町ぐるみの活動を休むことなく続け,災害等の不測の危難をおそれるのはむし
  ろ国民の危機管理の備えとして当然,というより優れた住民意識であろう。
 (5) (2 環境被害第2段)「臭気,油煙等の被害の受忍限度…」
  ① 原告らは,環境被害を本案に提起し損害賠償を請求しているものではない。本
  訴えにおける原告ら主張の違法事由は第1 で整理しているとおりであって,臭
  気,油煙等の環境被害は,本案前の原告適格を明らかにするに当たって,法律で
  保護された原告らの受ける利益を主張しているのである。被告は,本案の問題と
  混同している。違法な建築確認によって原告らの利益を損ね,またはそのおそれ
  が生じているのであるから,本案において審査をすべきであると主張しているの
  である。
  ② 財産権の制限は,憲法第29条2項において,「財産権の内容は,公共の福祉
  に適合するやうに,法律でこれを定める。」とし,都市計画法が公共の福祉の増
  進等のために(同法第1条),国民の個々の権利に適正な制限をすることを理念
  (同法第2条)の側面とし,建築基準法も単に建築主の個人的利益ばかりでなく,
  国民の生命,健康,財産の保護を図り,もつて公共の福祉の増進に資する目的(同
  法第1条)から建築物の敷地,構造,用途等に関する最低基準を定め,行政上の
  規制を加えるものであるから,一定限度内において社会一般に甘受すべき国民の
  義務である。また,市街化調整区域においては,特に土地の所有者といえども何
  人も無制限,自由に建築物が建築できないことは都市計画,開発許可制度の根本,
  常識であり,およそ不動産取引を生業とする訴外会社である本件建物の建築主は
  それを熟知した上で当該土地・建物を購入したものである(民事訴訟において,
  訴外会社はこの点を度々,むしろ強調して自白している。)。
  ③ 被告の理屈で言えば,日本国中で市街化調整区域に住む者は全て建築基準法の
  保護法益を何ら受ける権利がないこととなるが,それは違憲である。むろん,被
  告が言うように,行政や原因者の不法行為を追求し,損害賠償を請求する民事上
  の権利も原告らは留保しているが,本訴えでは見当違いで,原告らはそのような
  ことを裁判所に求めているのではない。
 (6) (2 環境被害第3段)「臭いの強さ」
  ① 臭気の問題は被告が推測で言うほど単純ではなく,天候,風向・風速,気圧,
  温度及び湿度等の気象条件によっては思いのほか遠方へ伝搬し,およそ300m
  以上離れた秋津レークタウン公民館付近でも気になる場合がある。仮に,焼鳥屋
  屋上南端から高温のままの排気を天空直上に導けば,自然対流により近隣の住居
  の上空を通過させることができるが,30mもの外冷気に露出した延長管路(乙
  第2号証)を通過することでガス温度が下がり,油煙分子が希薄化する能力も低
  下し,現場写真(甲第43号証)にあるように,屋上を這って地表面に近い高さ
  に降りて浮遊・漂流することとなり,近隣の住居では環境被害が却って拡大する
  こともある。特に排気口に最も近い原告****,****の居宅では,焼鳥屋
  屋上から数メートルの高さの煙突を設けるほうが被害は抑えられるとも考えら
  れ,必ずしも素人の推測する「経験則」が科学的とは言えない。
  ② そもそも,第一種低層住居専用地域における隣接した臭気,油煙の発生源から
  の環境被害対策のみで論ずるのであれば,能力の高い脱臭機器,グリストラップ
  は存在するのであるから,たとえコストがかかっても同装置を導入するほうが実
  効的であったであろう。本訴えの趣旨とは直接関係ないのでこれ以上詳しく論じ
  ないが,事実,平成18年7月13日,訴外会社と原告ら住民が住民代理人の弁
  護士事務所で話合いをした際,訴外会社社員は持参した営業店舗用の高性能脱臭
  機器のカタログを自ら指し示しながら,原告ら住民が環境被害軽減のために同機
  器導入の要望をするや,「住民の要求のハードルが高すぎる。高性能の脱臭機器
  が必要だったらその購入代金を出せ。もう裁判でも何でもやってくれ。」と居直
  って中座したものである。
 (8) (3 違法な行政の判断・処理による被害・損害第2段)「都市計画法第4
  2条1項の定めによって『予定建築物』以外の新築を原則的に禁止し,例外的に
  許可を受けた場合にのみ建築物の建築が許されるという制限が機能…」
  ① 被告は,店舗用地には「店舗」であればすべて予定建築物であるから何でも建
  築可能との主張であるが,「予定建築物」は用途地域に関する解釈のように幅を
  持った建築物の用途一般を示すのではない。(「店舗」の解釈の範囲については,
  被告の解釈はあまりに乱暴であるので,同審査基準について求釈明を申立てた
  い。)開発行為の許可申請時の予定建築物は,建築確認の際のような確定した建
  築計画ではないから,実際の建築確認の段階において,当該計画が予定建築物に
  当たるかどうかの建築主事の実質審査を受けることとなる。したがって,都市計
  画法第42条1項の定めにある予定建築物かどうかは,計画された建築物(店舗)
  について,業種・業態,規模及び構造等を精査し,判断されなければならない。
  そうすると,原告らが主張するように,A地区の店舗用地における予定建築物は,
  スーパーマーケットのみであり,本件建物は予定建築物以外の建築物であるから,
  仮に建築を計画するとしても,同条同項ただし書許可を要するのである。
  ② 原告らは,公園や道路を公益施設であるとは言っていない。公園や道路は公的
  施設として,開発許可に当たって都市計画法第33条に許可基準,技術基準が定
  められている。また,都市計画法施行令第27条には,特に大規模開発の開発区
  域においては公益的施設として「購買施設」の設置が義務づけられており,熊本
  県の開発許可基準によっても,これらの立地,技術基準が定められている。法的
  根拠は明白である(甲第47号証。熊本県「手引き」公共・公益的施設)。
  ③ 建築協定については,第2(「建築協定」に係る原告らの主張)で主張してい
  るが,県知事が開発許可基準に「建築協定をすみやかに締結する」ことを義務と
  して定め,都市計画法第79条によって秋津レークタウンにも建築協定を締結す
  ることを開発許可の条件として付加している(甲第1号証)。そもそも,建築協
  定は土地の所有者等の主体的な運営がなされるものであるが,行政が後見的に同
  協定を守らせる努力をどの程度すべきかは,条例を作り当該協定を認可した行政
  自身の政策努力,裁量の品質の問題であって,開発許可基準として行政手続法に
  基づいて公にしたものであれば,それを守らせるのは行政の責務である(甲第4
  4号証。国会で建設省住宅局長が建築協定の適正な後見的「特定行政庁の行政指
  導」を前提とした答弁をしている。)被告第1準備書面において,建築協定に関
  わる民事への介入は行政は絶対にしてはならぬかのように「公正中立」の姿勢を
  強調しつつ,ところが事実は同協定に違反する建築物を計画した建築主に対して
  は,「自治会長の同意書を添付しなさい。」との行政指導をする…と,これでは原
  告ら市民住民はやりきれない。行政の不法行為によって,保護された利益を損な
  う原告ら住民が原告適格を有するのは言うまでもない。
 (9) (3 違法な行政の判断・処理による被害・損害第3段)「建築協定を軽視
  した上,重ねての違法な行政の判断・処理により右建築制限の機能が外される…」
  ① 右(8) で述べたとおり,建築協定は秋津レークタウンの開発許可に当たり,
  許可基準として県知事が指定したものである。建築主事が土地用途の適合性につ
  いて,開発許可基準に適合しているかどうかを審査しなければならないのは当然
  である。開発許可基準に「以下の条件を守らなければ許可しない。」と定めた建
  築協定を同協定を認可した被告から軽視,無視することは,制限機能が行政によ
  って外される,という由々しき事態そのものである。
 (10) (3 違法な行政の判断・処理による被害・損害第4段)「スーパーマーケ
  ット存続の懸念」への被告反論について
  ① 熊本地裁の仮処分請求に対する判決の事実認定は,それが正当であるかどうか
  を判示しているものではない。訴外会社が,建築協定でスーパーマーケットしか
  建築できないことを熟知した上で当該土地建物を購入し,自らが営業するのでは
  なく,土地建物を他者へ賃貸しただけでは利益が出ないので…と,購入した土地
  建物の運用によって利益が出るか出ないかは,行政の関わる問題ではない。建築
  協定による「スーパーマーケットの確保」とは次元の異なる問題である。行政は
  民事に関わらないと言いながら,実は土地購入者の利益にまで関わり,建築協定
  違反の建築物を原告らが認めないのは「スーパーマーケット存続の阻害要因にな
  る」とまでの偏狭な解釈をし,民事訴訟で事実認定された行政の関わりと同様,
  本訴訟の中でも民事への介入を自身の第1準備書面で自白しているのである。
 (11) (3 違法な行政の判断・処理による被害・損害第5段)「店舗用地等広い
  スペースの確保は,避難場所としても重要」
  ① 店舗用地の確保は,公益的施設として都市計画法第33条に技術基準,同法施
  行令第27条に立地基準(大規模開発における購買施設の適切な確保の義務)が
  定められており,熊本県の開発許可基準にも定められている。県知事の指示でも
  ある(甲第47号証)。したがって,県知事が指導した事実がないとの被告の主
  張が真実であれば,県知事(つまり市長)はでたらめの開発許可をなしたことに
  なるが,それではまるで支離滅裂の主張なのである。
  ② 建築主事のする建築確認において,都市計画法第29条の開発許可の審査は,
  市長の「60条証明書」が存在しない以上,開発許可を受けたかどうかという形
  式上だけでなく,同土地に係る許可の実質審査がされなければならないから,同
  法施行令27条の公益的施設の(用地の)確保は行政庁又は建築主事の審査事項
  である。そして,当該土地の空地スペースも開発許可基準に含まれている(甲第
  46号証5-14頁)。避難場所としての指定はされていないが,それは公園等
  の広場でも同様であり,広い空地は避難場所にもなり得るものとして社会的役割
  があるものである。広い空地が違法によってなくなってしまえば,住民は避難場
  所として期待できたものを失う。大規模小売店舗立地法の運用指針には,地方公
  共団体から災害時等の避難場所としての協定を求められたら協力すること,との
  指針が示されているが,空地がなくなれば同協定も実現できなくなる。
     参考「大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき事項に関する指針
        平成17年3月30日経済産業省告示第85号」
     (4) 防災・防犯対策への協力
       大規模小売店舗は生活空間から一定の範囲に設置され,かつ比較的広
      大な敷地を有する施設であることから,設置者は,大規模小売店舗の所
      在する地方公共団体から災害時の避難場所として駐車場等敷地の一部の
      使用若しくは店舗で扱っている範囲の物資の緊急時における提供を行う
      ための協定等について締結要請があった場合,必要な協力を行うことと
      する。(以下,防犯関係の内容につき略。)
 (12) (4 取消請求事件訴訟の「原告者適格判断での受忍限度論の否定」)「最高
  裁判決の引用」
   原告らは,裁判所が本案前の原告適格を判断する上で,「環境被害が受忍限度
  かどうか」とか,「消防法の定めに適合しているから火災の危険性はない」とい
  う問題ではない,と主張しているのである。特に原告適格の解釈の拡大をうたう
  平成17年4月1日施行の行政事件訴訟法第9条2項の趣旨に鑑みれば,違法に
  建築された本件建物(飲食店)からの臭気,油煙の被害及びこれにより通風を阻
  害され健康,衛生を損なうおそれのある周辺の住民,建物の炎上等により直接的
  被害を受けることが予想される近隣住民,及び「建築協定」「市街化調整区域」「用
  途地域」「開発区域」等の扱い,解釈を誤った被告の不法行為によって,同様の
  被害を受けることが予想され,あるいは住居等の財産の損害を受け,またはその
  おそれのある土地の所有者等,である原告らは本訴えにおける原告適格を有する
  ものと解すべきである。
 3 (原告佐藤上及び同****の出訴期間の徒過について)について
 (2) (1 再審査請求後に行われた訴えの出訴期間第2段)「最高裁判決の引用」
  ① 原告らが挙げた3つの判例はいずれも,準備書面(1)で述べるとおり,行政
  事件訴訟法では,行政不服審査法並びに建築基準法に定められた審査請求と再審
  査請求(あるいは,「一審」と「二審」または第一段階と第二段階等)との間で,
  どちらかに重みをつけて差別して扱ってはいないことの証明として引用したもの
  である。たとえば被告が主張するように,行政事件訴訟法第8条(処分の取消し
  の訴えと審査請求との関係)各項,あるいは同法第14条(出訴期間)各項に定
  められた「審査請求」が建築審査会への「一審」のみを指し,国土交通大臣への
  再審査請求の「二審」には適用されない,とする根拠はない。このことを主張し
  ているのである。
  ② 「第一段階の審査請求に対してのみ前置主義がとられている」というのは,訴
  えの提起は第一段階の審査請求,裁決を「経ている」こと,つまり第一段階の履
  践が必須,とされているのは原告らも認める。しかし審査請求人らが適法に同第
  一段階を経て,さらに第二段階に歩を進めた場合に,第一段階の出訴期間のみが
  適用されると解されるような定めはない,このことを主張しているのである。被
  告の独自の解釈は到底認められるものではない。
 (3) (1 再審査請求後に行われた訴えの出訴期間第3段)「国土交通大臣への
  再審査請求に対する裁決が未だなされていない以上,出訴期間徒過の問題は生じ
  得ない」
  ① 既に主張しているように,行政事件訴訟法では「一審」と「二審」とを差別し
  て扱ってはいないのであるから,どちらの審査請求に対しても等しく同法の各々
  の定めが適用される。そして,行政不服審査法第56条により審査請求(「一審」)
  の手続きを準用する再審査請求(「二審」)に対する同法第40条ないし第44条
  に定められた国土交通大臣の裁決が未だなされていない以上,出訴期間の起算年
  月日を決定し得ないのである。つまり原告らは,行政事件訴訟法第14条3項の
  出訴期間制限が解除されると主張しているのでなく,出訴期間が起算されること
  となる裁決を満を持して待っているのであり,3ヶ月を過ぎても裁決がなされな
  いから本訴えを提起したのである。(甲第51号証。他行政庁〔三笠市及び飛騨
  市〕での行政処分における国民健康保険法〔昭和33年法律第192号〕,道路
  法〔昭和27年法律第180号〕,行政不服審査法及び改正の行政事件訴訟法に
  基づき正しく対応した教示の例)
  ② なお, (6) でも主張するが,仮に原告らの右解釈が誤っているとしても,建
  築審査会裁決における教示には重大な誤りがあり,原告らは騙されたのに等しい
  のであるから,行政事件訴訟法第14条1項ただし書きの,出訴期間を経過した
  後でも訴えを提起できる「正当な理由」があることをも予備的に主張する。(甲
  第51号証。右① と同様である。)
 (4) (1 再審査請求後に行われた訴えの出訴期間第4段)「審査前置の目的,
  『二審』の意義について」
  ① 既に繰り返し主張しているように,行政事件訴訟法第14条3項においても,
  当該「審査請求」が建築審査会の「一審」のみを指し,「二審」は適用から除斥
  されるとの定めはない。審査請求をして3ヶ月待っても裁決がないから出訴する
  ということは,翻意でも不自然でも恥じることでも批判されることでもなく,行
  政事件訴訟法第8条2項1号の定める正当な国民の権利の行使である。
 (5) (1 再審査請求後に行われた訴えの出訴期間第5段)「再審査請求後3ヶ
  月経過しても裁決がないときは裁決を待たずに訴えを提起できる。」
  ① 「原告らは,再審査には裁決の期限の定めがないことは当初から知ることがで
  きたものであり」と,こういう前提を被告が市民への先入観として持っているか
  ら, (6) で指摘する教示も誤ったし,誤った主張を続けている。法律を自らの
  都合のよいように…等と攻撃をするが,行政事件訴訟法が「一審」にしか適用さ
  れないというものでない以上,当然原告らの解釈が正しいものである。
 (6) (2 建築審査会裁決における教示の欠落)「『教示』の要件を欠く教示」
  ① 被告は「教示」の重要な意義を全く理解していない。被告は,法律に文言とし
  て具体的に表現されているものとそうでないものとの天と地ほどのその価値の差
  は熟知している筈である。行政庁の処分,裁決に際しての教示はあくまで正確に,
  当事者の不利にならないよう,そのすべてを網羅しなければならないし,文字ど
  おり行政事件訴訟法第46条が「…教示しなければならない。」と義務規定とし
  ていることに重要な意味があるのである。正に,内閣府が各行政庁に留意を喚起
  した「行政事件訴訟法の改正の骨子と行政運営に当たっての留意点」(甲第29
  号証12頁)の示すとおりである。被告とすべき者,出訴期間等の出訴に必要な
  要件をすべて正確に記してこそ適法な教示をしたと言えるのである。
  ② 特に本件の場合,審査請求人らに行政における再審査請求権のみを教示し,も
  う一方で可能な司法での訴えの提起について教示をしないのは,全く教示をしな
  かった場合よりも悪質である。原告らは同教示に依拠してその後の行動をしてい
  るのであるから,被告の言い分が正当だとすると,原告佐藤上及び****は訴
  状に述べたとおり,野でトラバサミの罠に掛かった子うさぎのようなものである。
  行政不服審査法第1条には,「広く国民に開かれた…」との目的が掲げられてい
  る。この民主的な法律の解釈に当たって,「あなたには一つの道しかありません。」
  と指し示した側から,後になって「あなたは二つの道があったことは知っていた
  筈だ。」との主張をされるとは…よもやそのような詐欺のようなパラドックスが
  法律の中に仕組まれているとは国民の誰も思いもしないのである。
  ③ 少なくとも,被告は教示を誤った点については認めており(被告第1準備書面),
  誤りの程度の問題は裁判所が判断する事項である。これを都合のよいように軽い
  ミスと弁解するのは自由だが,平成17年4月1日に施行された行政事件訴訟法
  の改正は,正に本件のような法律に疎い素人の市民が訴えを提起するケースを想
  定して施行されたものであり,この重要な教示についてこれを正確に行わず漫然
  と旧法のまま誤った教示をしたのでは何のための改正かわからない。
  ④ 原告ら準備書面(1)で引用した内閣府の「行政事件訴訟法の改正の骨子と行
  政運営に当たっての留意点」(甲第29号証)においては,本件のような教示の
  欠落がある場合,「しかし,第46条により取消訴訟等の提起に関する事項の教
  示義務が行政庁に課されていることから,出訴期間を経過しても取消訴訟を提起
  することができる『正当な理由』があるかどうか(第14条第1項ただし書),
  …(略)など訴訟要件を欠いた場合の救済の必要性の判断に当たって,教示があ
  ったかどうか,教示が適切なものであったかどうか,というような教示義務が守
  られたかどうかという事情が(裁判所が判断するに当たって…原告ら注)考慮さ
  れるものと考えられる。」と特筆し,行政運営上の留意点を内閣府から各行政機
  関に喚起している。行政事件訴訟法第14条1項ただし書きの,出訴期間を経過
  した後でも訴えを提起できる「正当な理由」があることを改めて主張する。(甲
  第51号証。他行政庁〔三笠市及び飛騨市〕での行政処分における国民健康保険
  法〔昭和33年法律第192号〕,道路法〔昭和27年法律第180号〕),行政
  不服審査法及び改正の行政事件訴訟法に基づき正しく対応した教示の例)
 4 (原告らが審査を経由せずに本訴えを提起したことについて)について
 (3) (1 「緊急の必要」がある。〔行政事件訴訟法第8条2項2号〕(5) )「審
  査請求をしても,建築確認後わずか11日後に工事が完了するような建築計画で,
  建築確認の処分がなされている場合は審査請求人の権利の保護が図れなくなる」
  ① 本件建物の建築計画は,原告らが主張しているとおり,建築確認の処分(7月
  20日)があったことを知って即刻審査請求をしても,物理的に建築審査会の審
  査を受けることさえもできないほどの短期間で工事が完了する予定(7月31
  日),というものであった。建築協定運営委員や自治会役員であったことから,
  僅かでも早く情報を知ることができ,工事の完了予定日を過ぎても工事が完了し
  ないことを見て,やむにやまれず審査請求を申立てた原告佐藤上及び****は
  ともかく,原告****,****,****及び同****は既に進行中の同
  審査請求の成行きを見守るしかない状況にあったことは明白である。(横浜地裁
  昭和40年8月16日判決・行集16巻8号1451頁,裁決期間内に事実上建
  物が完成する場合は緊急かつ正当な理由がある。)
 (4) (1 「緊急の必要」がある。〔行政事件訴訟法第8条2項2号〕(6) )「建
  築確認の審査においても土地用途の適合審査をしなかったのであるから,工事完
  了の検査に当たっても同審査をしないことは明白」
  ① 建築主事が原告らの望むような審査を行わないと予想する,というのではなく,
  建築物が計画のとおり建築可能かどうかを審査するという重要な最初のステップ
  である建築確認でさえも土地用途の適合審査をしなかったのであるから,工事完
  了時にも同じ要領で検査をすることとなるのは,被告の主張と証拠から相当程度
  科学的にみて確実性が高いと言える,と主張しているのである。そうだとすると,
  工事完了検査が土地用途の適合審査をすることなく,適法でなく行われても検査
  済証が交付されれば,原告らの建築確認の処分の取消請求の利益は失われること
  になるから,このような将来の違法性についても「緊急の必要」の判断要素であ
  ると主張しているのである。
  ② 被告は,審査請求という「法定の手続きを経るに十分な時間がありながら」と
  言うが,右(3) ① で述べたように,建築確認後11日で工事が完了するような
  建築計画で,どのように十分な時間があると言えるのか奇怪な主張である。仮に,
  被告の日常の業務処理においては建築物の工事完了予定年月日(甲第30号証)
  がさほど重要でなくいい加減なものとして元々扱われているのであれば,建築主
  事の審査が,法で許されないほどいい加減なものであるということになる。
   原告ら準備書面(1)で主張しているように,7月31日には工事は完了せず,
  ズルズルと1ヶ月以上延びて結局9月6日に初めて「中華料理店**」との看板
  が取り付けられて,住民は(被告も)本件建物の業種を知ることになり,翌7日
  建築指導課は検査を実施し,9月10日に本件建物(中華料理店)の市長の仮使
  用承認がなされたのである。(同14日には,審査請求人佐藤上及び****に
  建築審査会の裁決〔棄却〕が送達された。)原告らが「あと講釈」だと言うのは
  このことで,住民にはイライラとパニックになる時間は十分すぎるほど与えられ
  たが,法定の手続きを経るのは事実上不可能であったことは明白である。
 (5) (1 「緊急の必要」がある。〔行政事件訴訟法第8条2項2号〕(7) )「市
  街化調整区域を市街化区域として扱うとか,用途地域の定めがないのにこれを「第
  二種中高層住居専用地域」として扱うとの判断がなされると,違法状態が定着し,
  住民が受ける損害は回復することが困難になる。」
  ① 「処分」の形式をとらずとも,行政がなした判断・処理は朝令暮改ができる筈
  もなく,いわば公定力を持つと解される。つまり,本件建物で用途地域を適用し
  たのと同様の処理がなされると,実際上住民がこれを覆す術は皆無に等しく,訴
  状で述べたように「泣く子と地頭(お上=行政)には勝てない」と諦めるしかな
  いのである。行政の裁量権の濫用,逸脱についての主張は保留しているが,行政
  の不法行為によって原告らの法律で保護される利益が損なわれるおそれが生じて
  いるのであるから,右(4) ② の工事期間が極端に短いという物理的理由ととも
  に,緊急の必要がある。
 (6) (1 「緊急の必要」がある。〔行政事件訴訟法第8条2項2号〕(8) )「あ
  と1件のテナントのスペースがあるので,訴外会社から将来…」
  ① 右(4) ① 将来の完了検査の違法について主張したのと同様に,あと1件のテ
  ナントのスペースがあり,本訴えと同様の事案,つまり将来被告の違法な処分が
  なされる可能性は高いし,当該テナントの建築工事は本件建物の工事予定と同様
  に短期間に計画される可能性も高い。そうすると,本訴えにおいて主張している
  審査請求をしないで訴えを提起できる「緊急の必要」は継続しており,また今こ
  そ余計に理由がある。本案訴訟を進め,原告らの主張である「土地用途の適合審
  査をしなければならない。」ことについて裁判所の判断を得て後に,被告はあと
  1件のテナントへの対処を考えるのが至当である。
 (7) (2 「正当な理由」がある。〔行政事件訴訟法第8条2項3号〕(1) )「原
  告佐藤上及び****のした審査請求は同時に訴訟提起者のための審査請求でも
  あると言える。」
  ① 被告が挙げる判例(最三小判昭和61年6月10日判時1210号51頁)に
  いう「当該処分に対し一体的な利害関係を有し,実質的にみれば,原告佐藤及び
  同**が行った審査請求が同時に4名の原告のための審査請求でもあるといえる
  ような」「特段の事情」が,協定者全体の同意,委任または承認等の代表権の獲
  得という外形的条件の具備を要するかのような被告独自の解釈は,受入れられる
  ものではない。審査請求人らの個人的な動機による個人的な行動であろうがそう
  でなかろうが,あるいは他の協定者個々の意志とも関係なく,審査会は審査請求
  人らの住居の位置その他の何らかの個人属性を斟酌することはなく,処分庁の言
  い分どおり,「建築主事及び審査会の領分,守備範囲ではない。」との裁決をした
  のである。そして同裁決の内容は関係行政庁を拘束し(行政不服審査法第43条
  各項),実質的な公定力,既往力を持ち,かつ第三者効(対世効)を有するもの
  であることは明白であるから,協定者の誰が審査請求をしても,原告佐藤上及び
  ****が行ったのと同様の審査過程を経て(処分庁は同様の主張をし),審査
  会は同様の裁決をするのは疑う余地のないところである。結局,「実質的にみれ
  ば,原告佐藤上及び同****が行った審査請求が同時に審査請求非経由者のた
  めの審査請求でもあるといえるような特段の事情」があると解すべきである。
 (9) (2 「正当な理由」がある。〔行政事件訴訟法第8条2項3号〕(4) )「原
  告ら主張の『特段の事情がある。』」
  ① 本来,「審査請求の理由と本訴えの請求理由が一である」ことは,本訴えの提
  起の必須条件ではないし,行政での審査請求と司法での訴えでは審理の道筋も違
  うのであるから,弁論での攻撃方法も異なるのは当然である。証拠に挙げている
  ように,建築協定についても主張をし,都市計画法第42条1項関連についても
  同じく主張(甲第36号証)しているのであるから「審査請求の理由と本訴えの
  請求理由が一である。」と述べているのである。ただし,被告の主張が審査会と
  本訴えで変移する場合,原告らの攻撃・防御等は,従来までの被告の主張が継続
  することを前提としつつ,適宜対応することとなるのは当然である。
  ② 建築審査会で審査請求人佐藤上及び****の審査請求人適格が問題にされる
  こともなく,被告からも本案前について反論が全くなく審査が進行したのは,何
  も原告らの責任ではない。司法での本訴えの提訴に当たり,原告適格をより鮮明
  にする必要があると考え,改めて当事者として周辺住環境を調べ整理した上で,
  臭気,通風,騒音等の環境被害を原告適格の事由に加えたものである。審査庁は
  行政不服審査法第21条に基づき,審査請求の補正ができるときはそれを命じな
  ければならないのであるし,同補正命令がされておらず,審査請求も「却下」さ
  れたのではなく,にべもなく「本案請求につき理由がない。」(行政不服審査法第
  42条2項)として,「棄却」の裁決を得た以上,審査会における審査請求人の
  当時の主張を挙げて,「特段の事由が存在しない。」と反論されても,原告らには
  応答のしようがない。

                               以 上
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