秋津レークタウンのスーパー前の飲食店建物は建築協定違反です。建築・営業に反対しています。
また、この建物に対する行政の建築確認処分の審査には重大な瑕疵があり、取消を求めています。

平成21年2月23日に原告らが熊本地方裁判所に提出した準備書面です。
(被告の平成21年1月22日「第2準備書面」(このHPには未公開)へのさらなる反論です。)
(印刷をなさりたい方はこちらより.PDFファイルをダウンロードしてください。なお、本訴状に添付した甲号証
による書証は個人情報を含みますし、ご希望を検討させていただき回答しますので、一応ご連絡ください。)


 平成20年(行ウ)第9号 建築確認処分取消請求事件
 原   告   佐 藤    上 外5名
 被   告   熊本市

             
準 備 書 面 (5)
                                 平成21年2月23日

 熊本地方裁判所民事第2部合議B係 御中

                    〒861-2105 熊本市秋津町秋田3442-40
          (送達場所)   原   告   佐 藤    上
                            電 話 096-365-6218
                            FAX 096-365-6218
                            mail noboru@laketown.pc-door.com

                              同     * *  * *

                              同     * *  * *

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 被告の第2準備書面の主張に反論する。

第1 「原告ら準備書面(2)に対する反論」への反論
 1 原告ら準備書面(2)2頁下から4行目~1行目に関して…甲第33号証,2
  頁下から10行目からの「…都市計画法第41条に基づく制限を附して許可して
  いる。」の一文が,あくまで一般論である,との主張について
  ① 国民の行政への不服に対する審査の,極めて時間を制約された口頭陳述の機会
  に,わざわざ処分をなした行政庁が秋津レークタウンに適用されない「一般論」
  を漫然と語らなければならない必然性がない。市長の許可権限を分掌する開発景
  観課の長の同陳述は,市内徳王町等他の開発区域とは異なって,秋津レークタウ
  ンにのみ都市計画法第41条を適用しないことを,理由を挙げてことさらに強調
  するというのでもない限り,むしろ秋津レークタウンに指定された県知事の形態
  制限が同法第41条に基づくものである,ということを他の開発区域での具体例
  (甲第5号証)を挙げて強調し,面前の開発審査会委員に対して弁明したものと
  解すほかない。
  ② 原告らが主張するように,建築協定が廃止されていない限りは,秋津レークタ
  ウンにおける建築物の用途,位置,規模に関する有効な基準は唯一,県知事から
  開発許可の条件として締結された同協定に定められた文言のとおりのものとな
  る。万一これを認めず,建築協定が廃止されたものと仮定して,開発行為に関す
  る工事の検査済証に添付された県知事の指定(甲第3号証,添付文書2行目「建
  築協定が廃止となった場合においても以下の条件を遵守すること。」以下)を最
  低基準として検討するとしても,建ぺい率等の建築物の形態制限は,開発工事完
  了の公告後も当該開発区域において有効に機能し続けるものであるから,被告が
  主張する同法第79条に基づくものと解すことは困難である(同法〔雑則〕第7
  9条の定めは,当該開発工事に伴う留意事項等を付加条件として指定する場合に
  適用される〔甲第65号証,国交省開発許可制度運用指針28頁〕。)。そして本
  来,善意の第三者等の権利,利益の保護のためにも開発登録簿に登録,記録され
  るべき内容であるのは明白であるから,同法第41条に基づくものと解すのが妥
  当であり正当である。
  ③ しかし,市街化調整区域等の用途地域の定められていない土地における建ぺい
  率等の建築物の形態制限は,原告らの挙げる右同法第41条によるもののほか,
  建築基準法第52条1項6号,同法第53条1項6号,同法56条1項2号ニ及
  び同法別表3(に)欄5の項の定めにより,特定行政庁が土地利用の状況等を考
  慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めることができる
  のであるし,都市計画法第33条3項,同4項または同5項等に基づく条例制定
  により,開発許可基準(行政手続法の定義では「審査基準」)として定め,「手引
  き」等に載せることができる。行政をなす被告本人が「第79条に基づくもので
  ある。」と主張し続けるのであれば埒があかないが,市民としては特段の理由が
  ない限り他の開発区域と公平に同じ扱いをするのが妥当であり正当と解すほかな
  い。いずれにしても,県知事が指定した形態制限は極めて重要な許可基準,公に
  された審査基準であることに変わりはない。
  ④ 開発行為に関する工事の検査済証の添付文書(甲第3号証)には,A地区につ
  いて,「ガソリンスタンド兼バスプール用地及び店舗用地における建築物の用途,
  位置,規模に関する基準は,次に定めるとおりとする。」として, (1) 建築物の
  用途は,店舗,ガソリンスタンド,バス駐停車場,タクシー営業所,銀行とし,
  床面積は1500㎡以下とすること。 (2) 地階を除く階数は2以下とすること。
  (3) 建ぺい率は40%,容積率は80%,壁面後退距離は道路側1.5m及び隣
  地境界側1m…と指定している。(「用途,位置」の基準については,次の 2 及
  び 3 でも主張する。)
  ⑤ しかし被告の続いての,「今回の場合」として,「第二種中高層住居専用地域を
  想定…」というのは受け入れられない。B地区における形態制限に当たり,県知
  事は明確に「建築物の用途は,第一種住居専用地域に建築可能な用途とする。」
  と,想定した用途地域を示しているが,これに比してA地区における形態制限に
  当たっては,本来は用途地域を想定するのが望ましいところ(甲第65号証,国
  交省開発許可制度運用指針28頁13行目)これをせず,「建築物の用途は,店
  舗,ガソリンスタンド…とすること。」と建築物を特定している。原告ら準備書
  面(2)(5~6頁)で述べたとおり,土地用途は開発行為者が決めることで行
  政が自ら建築物を決めつけることはできないのであるから,県知事の同建築物の
  特定は都市計画法第34条10号イに基づく大規模開発に当たり,開発行為者が
  計画した予定建築物を,意図的に個別に明記したもの解される。
  ⑥ なお,A地区の当該店舗予定地に建築されたスーパーマーケットは,平成13
  年9月25日,大規模小売店舗立地法第5条1項による設置者・小売業者の代表
  の変更,そしてこれに伴い,店舗面積1,549㎡及び駐車場収容台数156台
  が届出登録された。その後平成18年9月21日,同法第6条2項による店舗面
  積2,032㎡,駐車場収容台数157台へ変更の届出登録がされている(甲第
  63号証)。したがって,同店舗予定地の既設スーパーマーケットの店舗面積が
  増えると,開発許可基準からさらに大きく外れることとなる。加えて,大規模小
  売店舗立地法では店舗面積は公道を挟んで分離されない限り,敷地形態に関係な
  く小売店舗が別棟に建築されても一建築物とみなされるからさらに同許可基準を
  大きく超え,都市計画法第42条1項違反に加えて違法を重ねることとなる。
 2 原告ら準備書面(2)5頁下から2行目~6頁2行目に関して…「A地区に当
  初建築された建物のみが予定建築物であり,以後A地区に建築される銀行やガソ
  リンスタンドは同じ用途であるにもかかわらず予定建築物ではないとする取扱い
  は異例のことであり,…」,との主張について
  ① まず本来は,開発許可に係る予定建築物の定義(建築確認の申請のあった建築
  物が開発許可に係る予定建築物か否か)等は,判断・処理及び処分をした行政庁
  にすべての情報があるのであるから,その根拠の説明は当該行政庁である被告が
  すべきところ,本訴えに際し何ら自ら積極的に説明する姿勢を示すことなく推移
  しているから,仕方なく原告らにおいていわば老婆心的な所為として先行的に解
  説し,A地区における予定建築物,建築主事のすべき確認審査の内容等について
  主張を展開しているのである。
  ② 建築協定の付属図面(甲第2号証)と開発登録簿の付属図面(甲第54号証,
  原告佐藤上が閲覧請求し開発景観課で得たもの)は明らかに同じものである。被
  告は開発許可申請時の当初の宅地区画割平面図(乙第9号証)を提示して,これ
  には「店舗用地」と記載があるから,同地には店舗なら何でも建築できる,と主
  張している。開発登録簿には,予定建築物の用途として「店舗」との登録記載は
  ないから,同図のみで被告のような強引な解釈はできない。それでもあえて区画
  割図で予定建築物の用途の解釈を読み取ろうとするのなら,正式に開発登録簿に
  付属している図(市民が閲覧できるもの)を用いるべきである。そうすると,む
  しろ建築協定を元に開発登録簿に付属する区画割図を複製したことが容易に確認
  できるのである(A地区とB地区を分ける境界線も記されている)。








     (付図 ⓐ 被告提示のもの)    (付図 ⓑ 原告ら提示のもの)
     乙第9号証 区画割図(拡大)  甲第2,55号証 区画割図(拡大)

   (付図 ⓒ )
  甲第3号証 
  県知事指定 
  の許可基準 

  ③ 各々拡大して付図を示す。付図 ⓐ は,開発行為の許可申請時の宅地区画割平
  面図であるが,これと比し正式な開発登録簿の付図 ⓑ には,店舗予定地,ガソ
  リンスタンド,タクシー営業所,銀行予定地と明確に区画割,位置が記載されて
  いる。すなわち,県知事の指定した許可基準である付図 ⓒ の示す店舗,ガソリ
  ンスタンド(バス駐停車場は建築されなかった。),タクシー営業所,銀行は,そ
  れぞれ付図 ⓑ に記された固別の位置を指しているし,現在でも各建物が同場所
  に実在する。開発登録簿に登録記載がされていないのは異例であるが,都市計画
  法第34条10号イに基づく大規模開発の許可の段階から,新生住宅地の居住者
  の利便のためA地区に各業種の予定建築物を計画配置し,この計画に沿って新し
  いまちづくりを進めたのは,被告が言うような異例でも何でもなく,県知事の指
  定した基準は極めて明確で,解釈は容易である。
 3 原告ら準備書面(2)6頁10行目~12行目に関して…「原告らは,被告が
  A地区を第二種中高層住居専用地域として取扱うという意味を不当に拡大してい
  る。被告が第二種中高層住居専用地域を想定した取扱いをするのは,A地区に建
  築可能な「店舗」の解釈についてだけであり,それ以外のことについては何も述
  べていないものである。」との主張について
  ① 原告らが不当な拡大解釈ができる立場ではないし知識もなく,そのような解釈
  をしなければならない理由がない。不当も何も,A地区を第一種低層(若しくは
  第二種中高層)住居専用地域として扱う,という意味はその文言のとおりであり,
  都市計画法及び建築基準法に定められた「用途地域」が,「店舗」の立地可能性
  のみを意味するものと格別に解される余地はなく(たとえばごく最近,平成20
  年12月21日熊本市が開催した都市計画法第16条に基づく公聴会〔原告らが
  許可基準どおり建築協定の締結をしていない例として挙げた徳王町の開発区域を
  含む都市計画区域の用途地域の変更等に係る〕に向け,市民に配布した「お知ら
  せ」に記載された「用途地域の変更に関する基本的な考え方」では,「用途地域
  は,土地利用を誘導及び規制するためのルールであり,まちづくりを進める上で
  最も基本的で重要な制度の一つです。…それぞれの用途地域ごとに建てられる建
  物や建てられない建物が定められています。…」と正しい解釈が公にされている。)
  被告の「『店舗』の解釈だけ」という主張は行政組織とは思えない不当な解釈で
  あり,仮にこれが正当だとすると,たとえばA地区にある現在のタクシー営業所
  の場所に,建築基準法第48条3項に基づき第二種中高層住居専用地域の用途に
  見合うような建築物に建替えることは許可なく可能,ということになるとも解さ
  れる紛れが生じるが,このような場合の基準(許可を要するか否か,許可するか
  否か,あるいは開発審査会に付議するか否か,の各々の審査基準)は明らかにさ
  れていない。都市計画法第42条1項の制限はこのようなことを許してはいない
  のである。被告は「それ以外のことについては何も述べていないものである。」
  と言うが,行政が何も述べなければ,「用途地域」についてこれを「店舗」の解
  釈にのみ引用する,という被告主張はよほど異様な解釈となるのである。
  ② 県知事が開発行為の許可に当たって,行政庁として(自らの開発行為ではない
  から)直接建築物の用途を決めつけることはできない。しかし,新生の住居専用
  の住宅地の誕生に当たって,開発行為者である住宅生協と入念に調整し,適法で
  できる限りの用途の制限をしようとした場合,当時の状況として(地区計画への
  機運がまだ育まれておらず,約20年後に都市計画法の改正,平成19年11月
  30日施行により,旧来の同法第34条10号イと同様な大規模開発は「建築協
  定」でなく,条例制定を伴う「地区計画」を前提として開発許可をなす等,の制
  度的前進があった。),住宅生協が原始協定者として一人協定制度を活用して建築
  協定に用途制限を課すという手法をとり,かつ,県知事はこの建築協定が万一廃
  止されても最低の制限,基準として用途制限(甲第3号証)を加えたというもの
  である。同手法については全国の他行政庁でも多く見られ,国の開発許可制度運
  用指針とも全く合致するのである(原告ら準備書面〔4〕11頁参照。平成13
  年5月2日国総民第9号〔甲第65号証,18頁下から3行目〕)。そしてむしろ,
  同指針によれば,同法第34条10号イの大規模開発が住居用宅地を目的とする
  場合は,係る開発区域において建築協定の締結を前提にしているものとも解され
  る。地方自治の本旨に基づき,行政(熊本県)が民間と協力し合ってまちづくり
  を進めていくという典型であり,全国でも先駆的な実例でもあったのである。

第2 「原告ら準備書面(3)に対する反論」への反論
 1 原告ら準備書面(3)2頁5行目~8行目に関して…「『土地用途の適合審査
  をしていない』という意味に食い違いがある…当初の確認処分に当たって適正に
  審査された結果『許可不要』とされた用途と同じ用途であることを確認すれば,
  それは実質的には新規の建築確認申請時と同等の都計法上の適合性審査をしたの
  と等しいのであって,当該確認を行い実質的な審査をしている以上,『土地用途
  の適合審査をしていない』との批判は当たらない」との主張について
  ① 原告らは本訴えにおいて,石のつぶてを当てるような「批判」をしているので
  なく,適正に審査が行われたかどうかを検証した上で,真面目に行政処分の取消
  請求をしているのである。本件確認処分に当たって,「都市計画法上の課題が存
  在した場合には許可証の添付若しくは,所管の判断がなされているかどうかを確
  認するに足りる。都市計画法の合議のもと,それが適法・不適法については建築
  主事が審査すべき要件ではない。本件処分においては,当初確認申請において開
  発許可の許可証等が添付されている。建築確認申請事前調査報告書の中で,開発
  許可の基準等に関する条例に則り区画変更してあり問題はなく,また建築形態基
  準としては,建ぺい率,容積率,絶対高さの制限を第1種低層住居専用地域内の
  基準をもって扱うことの報告がなされている。」と主張したのは,ほかならぬ処
  分をなした被告自身である(甲第10号証)。原告ら準備書面(4)で違法事由
  として挙げているように,被告の同主張のすべて(右下線部分)が事実ではなく,
  原告佐藤上は市長にこの審査に係る経過を示す書面を開示請求したが,「不存在」
  として拒否されている(甲第14号証)。建築主事は当初確認処分に当たって,
  都市計画法に係る少なくとも同法第29条1項,同第41条2項または第42条
  に適合しているかどうかについて市長が真に審査をしたか,したとしても適正だ
  ったかを確認していない。「適法・不適法については建築主事が審査すべき要件
  ではない。」とさえ主張しているのであるが,この審査こそが建築主事の所掌権
  限,役割そのものではないか。結局被告の右反論自体が,本来建築主事がしなけ
  ればならない審査をしていないことの証明なのである。ことに,市長が「許可不
  要」と判断,または「60条証明書」を交付しない場合には(つまり,熊本市で
  は同証明書を交付していないのであるから,すべての建築確認において),市長
  が主張するとおり(原告ら求釈明申立書〔2〕最後段参照。念のため次に再掲す
  る。)建築主事がその実質審査をしなければならないものである(大分地裁判決
  昭和59年9月12日〔判時1149号102頁〕,京都地裁判決昭和62年3
  月23日〔判時1232号77頁〕,大阪高裁判決昭和63年9月30日〔判時
  1304号82頁〕)。
    参考  <市長の主張> …開発審査会裁決書(甲第15号証)
    建築主事は,都市計画法を含む建築物の敷地等に関する法令の適合性につ 
   いても判断権限を有している。建築主事は,(市長の)都市計画法に基づく 
   処分性のある許可,不許可の処分の場合は,独自に建築物の敷地等に関する 
   法令の適合性を判断できないが,それ以外の場合は判断権限を有しており, 
   この判断権限は,建築物が関係法令規定に適合しているかどうかであって, 
   開発担当部局がどう判断しているかというような外形的な事項に限定されな 
   い。また,適合証明書は,建築基準法施行規則等の一部を改正する省令(平 
   成19年国土交通省令第66号)第1条の規定による改正前の建築基準法施 
   行規則等(昭和25年建設省令第40号。)第1条の3第11項第3号に基 
   づき特定行政庁が規則により添付の必要なしと定めた場合は,申請書に適合 
   証明書の添付は必要なくなる。この場合は,建築主事が法第42条第1項の 
   適合性の判断をすることを考慮すれば,建築主事の判断権限は,外形的,形 
   式的な判断権限ではなく,実体的な判断権限である。
  ② しかしそもそも,市長が「用途の変更に該当せず」との理由で「許可を要しな
  い。」と判断・処理したというのであるから(甲第10号証,建築審査会裁決書
  に添付された「別添資料」開景発第000531号),この解釈自体が誤ってい
  る以上,被告の主張の前提が崩れているというほかない。都市計画法第42条1
  項に定められた「用途の変更をしてはならない。」とは,「…また,建築物を改築
  し,又は(建築物の形態の変更がなくても)その建築物の用途を変更して,別の
  用途の店舗として供してはならない。」という法意であるから(平たく言えば,
  八百屋の建物を改築したり,又はそのままでも,お上の許しなく魚屋にしてはい
  けない,ということ),これを「既設建物と同じ『店舗』用途の建物であるから
  用途の変更に該当せず」と,本件建物のように既設のスーパーマーケットとは別
  棟に新築する建築物には,まるで該当しない法律の定めの部分を重要な「許可を
  要しない。」との判断根拠にしているということなのである。違法な判断・処理
  としか言いようがない。
 2 原告ら準備書面(3)5頁19行目~6頁6行目に関して…店舗の床面積「1,
  500㎡」制限に係る主張について
  ① 原告らの主張は,複数の店舗の床面積の総量を規制するというものではなく,
  店舗予定地における予定建築物は,駐車場付きのスーパーマーケットで,その床
  面積は1,500㎡に制限されていると主張しているのである。同店舗予定地に
  建築を予定された建築物の床面積は,熊本県の「手引き」(甲第46号証,5-
  9頁)によれば,(旧)大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関す
  る法律(以下,「旧大店法」という。)による店舗面積の定義,つまり売場面積(小
  売業務に供する部分)の合計を示すものであり,また,5頁の付図 ⓐ(被告提
  示のもの)は,開発許可申請時の宅地区画割平面図であるが,正式な開発登録簿
  の付図 ⓑ(原告ら提示のもの)を見ればわかるように,店舗予定地,ガソリン
  スタンド,タクシー営業所,銀行予定地と明確に区画割,位置が記載されている
  のであるから,被告の主張するような同用途の記載の意味がないとか整合性がと
  れず不自然ということは全くない。すなわち,県知事の指定した許可基準,付図
  ⓒ の示す店舗,ガソリンスタンド,タクシー営業所,銀行は,それぞれ付図 ⓑ
  に記された固別の位置を指しているし,現在でも各建物が同場所に実在する。
  ② 被告は熊本地裁判決(乙第10号証)を挙げるが,同判決は建築協定の内容に
  対する判断である(被告が開発許可基準である建築協定の内容をここで検討する
  ということであれば,原告らも大いに望むところで,是非とも,しかしそれは別
  項であらそうこととしたい。)。県知事指定の制限(甲第3号証)では個々の建物
  の床面積は指定されていない。しかも,同判決は同制限及び開発登録簿等を全く
  吟味しておらず,当事者双方が主張していない事実により,いわば当該事件原告
  の(建築協定違反に対する是正措置請求の)権利濫用の判決の根拠づけのこじつ
  けに挙げたものとしか考えられないのであり,同原告は福岡高裁に控訴中である。
  実際,5頁付図 ⓑ〔甲第55号証〕と県知事指定の制限,付図 ⓒ〔甲第3号証,
  建築物の用途だけでなく位置,規模も指定してある。〕を併せ見て,指定された
  各建築物の位置を無視し,唐突にも「店舗予定地」にガソリンスタンド事務所や
  銀行等が建築可能であるとは解釈できるものではない。)。なお,付図 ⓑ は,同
  図面作成の時期を反映して,当時既に建築工事が完了していたガソリンスタンド,
  タクシー営業所と,まだ工事が始まっていなかった予定建築物の建築予定地であ
  る「店舗予定地」及び「銀行予定地」と明確に区別をしている。(「開発計画の申
  請初期の段階では店舗『用地』と称し,許可後は店舗『予定地』と,より分かり
  やすく具体的に土地属性を明確にしてもいる。)
  ③ 「1,500㎡の床面積制限」について,県知事指定の制限(甲第3号証)の
  文章は若干わかり辛い(しかしそれはもちろん原告らの責任ではない。)が,店
  舗予定地は7,816.26㎡であり,この土地に適用される建ぺい率40%で
  は理論上,合計最大3,126.5㎡の建築面積の建築物しか許容されない。し
  かし, (ア) 店舗以外のタクシー営業所等の建物が個々に予定されている場所以
  外に同店舗予定地に床面積1,500㎡も必要であるとは常識的に考えられない
  こと(実際建築協定では,ガソリンスタンドの作業場を50㎡以下,タクシー営
  業所の車庫を200㎡以下と制限しているし,銀行には制限がない。これらは各
  々の土地の位置,規模が,予定建築物として既に決まっていたからにほかならな
  い。), (イ) 駐車場の必要性を無視したとしても,最大1,500㎡の店舗,ガ
  ソリンスタンド,タクシー営業所,銀行が当該店舗予定地にすべて建築されると,
  合計では6,000㎡を要すこととなり,物理的にも無理で非現実的であること,
  (ウ) 建築物の規模は建ぺい率,容積率で既に別項に定められているのであるから,
  わざわざ床面積による制限を加えるのはおかしく,結局,同「1,500㎡の床
  面積制限」は,各建築物に対する制限ではなく,旧大店法の関係から,店舗予定
  地に建築される予定建築物である店舗(スーパーマーケット)に対して指定され
  たものであると解すほかない。現在,大規模小売店舗立地法に基づき同スーパー
  マーケットの規模は,店舗面積2,032㎡,駐車場収容台数157台と届出登
  録されている(甲第63号証)。
    参考 (各建物の工事完了年月 ○数字は建築順)
   ① タクシー営業所…平成元年4月  ② ガソリンスタンド…平成元年10月
   ③ スーパーマーケット…平成2年12月  ④ 銀行…平成4年6月
 3 原告ら準備書面(3)7頁4行目~9行目に関して…「いわゆる『1号店舗』
  であるから差し支えない(許可を要しない)。」「『手引き』は一般的な指針である。」
  との主張について
  ① まず,本件建物が建築された土地は,都市計画法第34条「1号」ではなく旧
  同法同条「10号イ」(20ha以上の大規模開発で,計画的な市街化を図る上
  に支障がないこと,との予め開発審査会の議を経たもの)に基づき開発許可を受
  けているものである。「10号イ」による大きな開発区域全体を見通して計画さ
  れた同区域内の居住者が利用するための公益的施設のスペースであるA地区,あ
  るいは同店舗予定地に計画された予定建築物を検討するに当たって,「1号」の
  「周辺の市街化調整区域に居住する者を主たるサービス対象とする小規模店舗の
  ための開発許可基準(「1号店舗」という業種のみ)を強引に適用して「店舗だ
  から予定建築物である。」判断することは,まるで別の土俵に上がって相撲をと
  っているような誤りである(甲第65号証,平成13年5月2日「国総民第9号」
  開発許可制度運用指針16~20頁〔被告提示の乙第12号証は平成19年11
  月30日施行のもので,秋津レークタウンには適用できないから,原告らが改め
  て提示する。〕)。
  ② 開発許可を受けた開発区域内では,都市計画法第42条1項ただし書許可の申
  請があった場合には「1号店舗」の業種が審査基準となるので(甲第53号証),
  建築可能となることもあり得るが,それはあくまで,真に「1号店舗」であるこ
  とと併せて,同法第33条1項2号,3号及び4号の基準とを勘案し(同号証),
  結局,県知事(市長)が当該開発区域における利便の増進上若しくは開発区域及
  びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認めて許可したときに,初
  めて例外として実現するものなのである。すなわち,同法第34条「10号イ」
  に基づき開発された秋津レークタウンの「店舗予定地」に,「1号店舗」という
  ことを根拠に予定建築物と判断できる余地は全くないのである。逆に「1号店舗」
  が予定建築物の条件となるのであれば既存のスーパーマーケットは予定建築物と
  は言えなくなる。国の開発許可制度運用指針でも「特に,地区計画や建築協定の
  策定を伴う開発行為であって他の土地利用規制との調整を了したものについて
  は,開発区域の特性にふさわしい良好な環境が将来にわたって保持されるもので
  あることから,法第34条第10号イの運用については,特段の配慮を行うこと
  が望ましい。」として行政庁の配慮を求めている。
  ③ 万一仮に,秋津レークタウンが都市計画法第34条「1号」により開発許可を
  受けた開発区域だとすると(もちろん秋津レークタウンは「10号イ」による大
  規模開発なのであるが),「1号店舗」は,その業種について県知事及び市長は総
  務省が定める一般飲食店であることのほか,規模,経営主体等で行政自らが規制
  をしている(甲第46号証及び甲第61号証)のであるから,その範囲内で行政
  の裁量が機能することとなる。そうすると,本件建物の店舗は, (ア) アルコー
  ルを含む飲料を飲食させる遊興飲食店であること(焼鳥屋), (イ) 建築主自己が
  経営するものではないこと(テナント中華料理店), (ウ) 建物は自動車の出入り
  できる県道及び市道沿いに建築し,自動車で来た遠方の帰り客のための代行車を
  常駐させる等,明らかに「当該開発区域の周辺の市街化調整区域に居住する者を
  主たるサービス対象とする」とは認め難いものである。したがって,本件のよう
  に都市計画法第42条1項ただし書許可の申請があった場合には,審査基準に照
  らして右判断により不許可とすべきであるし,あるいは開発審査会に付議し答申
  を得るべきである(甲第8号証)。
  ④ そもそも国が開発許可制度運用指針(乙第12号証,28頁)で「硬直的」な
  運用を戒めているのは,都市計画法第34条「1号」による店舗に対する小規模
  開発の許可基準についてであって,秋津レークタウンに適用される同条「10号
  イ」による大規模な開発区域の店舗立地に係るものではない。それでも強いてこ
  の指針を検討するに,「 (5) 本号の運用に当たり,市街化区域からの距離要件,
  同業種間の距離要件,業種ごとの支持世帯数,集落の隣近接要件,建築物に係る
  敷地規模,建築物の規模制限等を設けている例がある」が,「これら基準を一律
  に適用した場合,合理性を欠くことになるおそれがあるので,その運用が硬直的
  にならないよう留意する…」との,つまり店舗間の距離,住民数,店舗の規模等
  の画一的な「数値」規制を設けるような硬直的な運用はすべきでない(たとえば,
  同業種の店舗の距離要件を1㎞と定め,それ以内では一切認めない等),と指針
  が示されているものである。当然ながら,第一種低層住居専用地域に隣接して深
  夜まで営業をする焼鳥屋の建築計画について,「周辺住民のための利便性もあり,
  居住環境の保全に問題ない。」という判断をしてもよい,というものではない。
  そしてたとえ都市計画法第42条1項ただし書許可の申請があった場合でも,こ
  の審査基準として「1号店舗」を示してあるだけで,「許可を要しない。」との判
  断は許されず,また仮に審査をするとしても「一般飲食店」と定めて公にしてい
  る以上,「遊興飲食店」は認められない。自らが決めた審査基準を破ることまで
  自由裁量が行政にあると解すことはできない(実際,当該焼鳥屋が深夜までの営
  業をするとは被告も把握していなかったというのでもある。)。
  ⑤ 「手引き」は被告が主張するような一般的「指針」ではなく,許可基準であり,
  行政手続法に基づき公にされた審査基準である。行政自らが審査基準を守らない
  のでは,「基準」の意味はない。支離滅裂な主張というほかない。熊本県と熊本
  市はほぼ同様の「手引き」を公にしているが,たとえば熊本市の「手引き」には,
  都市計画法第34条10号イに係るものとして「市街化調整区域内における大規
  模開発行為の取り扱い方針」が定められ,これを「基準」と称し,最後尾には(開
  発行為に係る技術基準について)「この基準に定めのない事項は,熊本市開発許
  可申請の手引きによるものとする。」と重要な位置づけが明記されてもいる。)
 4 原告ら準備書面(3)7頁の (3) に関して…「原告らは,被告がA地区を第
  二種中高層住居専用地域として取り扱うという意味を不当に拡大している。…」
  との主張について
  ① 第1 3 と同様の主張であり,重複するから省略する。
 5 原告ら準備書面(3)8頁の (4) に関して…「原告らは,予定建築物の用途
  は建築協定の中身と同じでなければ不合理であると主張するが,その主張は不合
  理である。…」との主張について
  ① 既に準備書面(4)でも述べたので簡単に反論しておく。秋津レークタウンの
  開発許可に際して,県知事は「建築協定の速やかな締結」を開発許可の前提条件
  として付した。またこの中で,「建築協定の内容に当たっては本職(県知事)と
  協議すること」ともしている。秋津レークタウンの開発工事が完了し,県知事の
  検査済証が交付され,建築協定が有効に機能しているのであるから,この時点で
  有効な最も厳しい建築制限は建築協定のみとなる。建築協定には土地用途の制限
  についても明確に定めてあるのだから,予定建築物の用途は建築協定の内容と同
  じものとなる必然である。
  ② 被告は,開発許可の時点では建築協定がなかったのだから,予定建築物は建築
  協定とは関係なく設定されている,と主張している。しかし,国の開発許可制度
  運用指針でも「建築協定との策定を伴う開発行為については…特段の配慮を行う
  ことが望ましい。」と,建築協定との連携をうたっており,右 ① の許可権者で
  ある県知事の姿勢からは,建築協定と無関係に予定建築物が設定されるというこ
  とはあり得ず,逆に同協定の文言に大きく関わって「協議」をしたものと解され
  る。県知事の関与が被告の言うように,建築協定の内容が「予定建築物の範囲内」
  になるようにということであれば,その程度の行政の関与ならむしろ建築協定の
  許認可権は特定行政庁(市長),被告が有しているのであるから,同協定認可の
  際に市長が審査すればよいだけのことである。県知事が関与するのは,国の同指
  針と地方自治の本旨に基づき(地方自治法第1条)また,開発行為者と対等・協
  同の立場で,新生の独立した大型住居専用団地が形成される秋津レークタウンの
  将来について建築協定にすべてを託し,かつ案じたからこそのことである。
 6 原告ら準備書面(3)9頁2行目に関して…「原告らは,開発地域の店舗用地
  での店舗は「スーパーマーケット」以外には予定されていなかったものであると
  主張するが,根拠が不明である。」との主張について
  ① 都市計画法第34条10号イに基づいて開発された開発区域について,開発登
  録簿には「店舗」との登録記載はなく,同登録簿の付属図面(甲第54号証また
  は5頁付図 ⓑ )によれば,建築協定及び県知事指定の制限(甲第3号証)に記
  されているガソリンスタンド,バス駐車場,タクシー営業所,銀行は,それぞれ
  同図面の個別の位置を指しているし,現在でも各建物が同場所に実在する。店舗
  予定地にもスーパーマーケットが既に建築されているから,これは予定建築物で
  あると解される。そうすると,「10号イ」の定めは,「1号」に定めるような特
  定の(店舗)建築物を建築するための開発行為を対象にしておらず,予定建築物
  の用途として開発行為の許可書及び工事の検査済証には「宅地分譲,建売分譲」,
  開発登録簿には「専用住宅外(分譲)※法第34条10号イ」とのみ記されてい
  るのでは,原告ら準備書面(2)でも述べたように,同図面に登録記載されてい
  る現出の建築物を予定建築物と解するしかないのである。少なくとも本件建物(飲
  食店)について,これを予定建築物と解する根拠は見つからない。
 7 原告ら準備書面(3)11頁8行目~12行目に関して…「原告らの『推認』
  は本末転倒であり,根拠がない。」との主張について
  ① 右 5 と同様である。
 8 原告ら準備書面(3)11頁14行目~17行目に関して…「参議院建設委員
  会の議事録」にある特定行政庁の建築協定への積極的関与に係る反論について
  ① 行政である被告が,市民と共に作り上げてきた建築協定制度に対して,何故に
  これほど頑なに拒否反応を示すのか理解できない。同議事録全体を通読すれば,
  単に「建築協定を作成する際に協定違反是正措置条項をきちんと入れるべきだ」
  という指導を行っているかどうか,のみが議論になっているのではないというこ
  とは,簡単に理解できる内容である。本訴えには直接関係ないが,熊本市が発行
  していた建築協定の啓蒙を目的とする小冊子「都市美観」(甲第59号証)に載
  せている同市の積極的施策の実効ある姿勢への回帰を望むほかない。
  ② 参議院建設委員会(甲第44号証)は続いて開かれており,右委員会の一週後,
  昭和51年10月28日の委員会ではもっと具体的かつ積極的な議論がされ,建
  築基準法改正案(建築協定関連では,一人協定制度の導入)の提案者である政府
  側委員が地方自治体の姿勢について明快に述べているので,証拠と重複するがこ
  こに挙げておく(甲第64号証)。
    参考 (建設省住宅局長答弁抜粋)
    「…いろいろな建築協定ではその建築協定自体の中に違反をした場合の措 
   置等についてお決めになっておりますけれども,それに背くような場合がご 
   ざいましても公法的措置はとれないわけでございます。しかしながら,そう 
   いうふうな地域の実情が非常によくなるということが前提でございますので,
   特定行政庁,建築主事等は十分そういう面につきましては指導なり,あっせ 
   んなりは努めてまいるべきだというふうに考えております。」   
    「…建築協定制度は,いわば民間におきます土地所有者の皆さんが自らの 
   手で建築環境を守るというルールづくりのための規定でございまして,それ 
   を地方公共団体が認可をいたしまして,その実行を担保していこうという制 
   度でございます。したがいまして,そういう建築協定の協定を結ばれるに当 
   たりまして,技術的援助もしくは御相談に十分乗る,もしくは指導するとい 
   うような点につきましては地方公共団体は大いに努めてまいると思います。 
   そういうふうなことで今後も運用してまいりたいと考えております。」
 9 原告ら準備書面(3)11頁19行目~23行目に関して…「大規模小売店舗
  を設置する者が配慮すべき事項に関する指針」に係る主張について
  ① 建築協定と大規模小売店舗を設置する業者の建築計画を合致させることについ
  て,原告らが行政機関に「義務」があるとかないとかを云々しているのではない。
  法的な義務の存否だけに依拠して行政機構が機能するものではない。市民が釈迦
  に説法をするような基本中の基本であるから,ここで地方自治の本旨や地方公務
  員のあり方についてあらそうつもりはないが,行政庁が開発許可基準として,つ
  まり開発許可申請者に対して許可する上での必須条件として「建築協定の速やか
  な締結」の義務を課し,県知事とその内容を協議しながら策定した同協定に定め
  られたスーパーマーケットの建築計画について,当該建築協定と合致するよう指
  導をする等の努力・協力が求められるのはあまりにも当然のこと,常識である。
  建築協定の位置づけについては既に国の運用指針ほか,3 でも主張していると
  おりである。行政の姿勢によって,どの程度の差が生じるのか,例として,熊本
  市と横浜市の建築協定,地区計画の普及・発展の比較(原告佐藤上作成)図によ
  り,地方自治の本旨に基づき市民生活を守る立場の自治体では,建築協定制度が
  十分に機能し,発展していることを提示しておく。(甲第60号証)
 10 原告ら準備書面(3)11頁23行目以下に関して…「被告が『建築協定に背
  を向け偏狭な姿勢』をとっていることにはならない。」との主張について
  ① 右 9 ① 及び原告ら準備書面(4)で主張しているとおりである。

                               以 上
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